林芙美子が映画と創作に出逢ったまち直方市須崎町商店街。それにちなみ、昨年開催した直方市須崎町映画祭は、主に林芙美子と映画と須崎町の関わりを紹介することを主題に置きました。
今年はテーマのひとつとして、その目を将来に向け、映画のデジタル化がもたらす可能性のひとつ、上映形態の多様化の一環として、たとえば商店街空店舗で映画を上映し続ける可能性の模索に焦点を当てます。
継続性を考えるときにまず直面するのが上映コストの問題。上映料の高価なメジャー系の作品は、それだけで上映のハードルを上げてしまいます。ところが、たとえばインディーズ系の作品であれば、上映料を抑えることが可能です。
インディーズ系に限らず、作品を上映できる場を探しているというクリエイターの方々も多く、そのニーズと上映したい側のニーズをマッチングさせれば、、低コストながら意義のある上映会は実現可能ではないかと考えました。
しかも、狭義の映画ではなく、vシネマに代表されるビデオ作品を含めた様々な映像作品。これらに目を向ければ、その可能性は更に広がるのではないか。
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技術革新とともに映画を取り巻く環境も変化し、昨今はビデオ作品で名を上げ、腕を磨き、現在では映画監督としての地位を確固たるものにしている人も少なくありません。
かつての「日活ロマンポルノ」がそうであったように、最近ではVシネマやホラービデオに代表されるビデオ市場が、映画監督を目指す若者たちの修練の場のひとつ。
中には三池崇史監督の『極道恐怖大劇場 牛頭』(2003年)のように、Vシネマながらカンヌ国際映画祭の監督週間に正式出品されたようなケースもあるほどです。
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こういった考察や、様々なご縁に恵まれたこともあって、今回は、日本POVの旗手、白石晃士監督の、今や伝説となりつつあるフェイクドキュメントホラー「コワすぎ!シリーズ」のコンプリート企画を目玉に据えました。
この「コワすぎ!」は、シリーズ5本がビデオとして発売され、この春『劇場版』が公開されたという、まさにこのビデオから映画への流れを体現してみせたシリーズ。
劇場版公開をきっかけに、今年4月ニコニコ動画の一挙公開でカルトな人気に火がつき、5月渋谷アップリンクにて一挙上映、8/2新文芸坐にてオールナイト上映、そして、『2015年山形国際ドキュメント映画祭』のプレイベントとして『フェイク・ドキュメンタリーを楽しむ』と題し9/5~9/7『納涼コワすぎ!まつり 怪異の表象』が開催されるなど、ホラーファンならずともPOVやフェイクドキュメンタリーファンからも注目を集める今最も熱い作品群なのです。
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直方市須崎町映画祭2014では、プレイベントとして8/30から映画祭当日まで毎週土曜日、昨年おなじみとなった、須崎町商店街空店舗ブースにて、無料で一挙上映。
1~「劇場版序章」までを、1ブースでのみ終日上映することで、大規模な映画祭としてではなく、通常営業の商店街の中、空店舗1箇所で映画を上映することの可能性をも模索します。また、須崎町公園での屋外上映にもチャレンジ。小規模上映会のさまざまな可能性を追求します。
映画祭当日9/27(土)夕には『劇場版』をゆめニティのおがたにて上映(※)。白石監督、主演のお二方という、メインキャストの方々勢ぞろいの舞台挨拶に加えて、上映後には、コワすぎシリーズ大ファン、超地元、須崎町出身の俳優、入江雅人さんとのトークも予定しています。
「コワすぎ!」というタイトルに見られるとおり、ホラーに分類されるこのシリーズ。しかしそこにあるのは、単にホラーものという言葉では言い尽くせない、「低予算でいかに面白いものを作るか」という試みにあふれた映像作品。
怖がらせることではなく、飽きさせないこと、興味をひき続けること、要は面白いものを作ることへのこだわり、そしてそれを低予算で実現させてみせるための創意工夫の数々。これからもの造りに係ろうとする若い世代や、ホラーは苦手という方にもぜひご覧いただきたい作品群。
当日夕のトークは、低予算で面白いものを作るヒントがたくさん散りばめられたものになると思われます。
そして、もうひとつ、直方市出身、瀬戸島正治氏プロデュース「めんたいぴりり」も特集。27日には特設ブースにて、撮影風景等の写真展示や第一部上映や、須崎町公園屋外上映でのファンが選んだ本編ベストチョイスと瀬戸島氏本人参加のトークイベントも開催。これも狭義の映画という枠を超えた、映像イベントです。
この両企画を柱に、昨年同様商店街には4~5ブースを用意、生誕110周年を迎えた小津安二郎監督作品や、その他国内外の名作も上映いたします。
商店街空店舗と映画。商店街活性化とクリエーター作品披露の場。デジタル時代を迎えた映画の新しい可能性をぜひ、ご体験ください。
(※ これのみ有料。1,000円。トーク含。前売り券はプレイベント上映会場にて販売いたします。)